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シャドーイングをやってみたけれど、音声が速すぎてまるでついていけない。何を真似すればいいのかもわからない——そんなふうに感じて、途中で止まってしまった方は少なくないと思います。実は私こべたろ自身も、「これはもう無理だ」と何度も思いました。
でも、シャドーイングが難しいのは、あなたの英語力が足りないからではありません。多くの場合は、素材の速さや負荷が「いまの自分」に合っていないだけなのです。
TOEIC955点でも新しい音には何度もつまずいてきた私が、初心者でも無理なく始められるシャドーイングのやり方を、4つのステップに分けてお話しします。完璧に真似できなくて大丈夫。まずは「一文だけ」から、一緒に始めてみましょう。
シャドーイングが難しいのは、英語が苦手だからではありません
シャドーイングが「難しい」と感じるのは、英語力が足りないからではなく、たいてい負荷のかけ方が今の自分に合っていないだけです。つまずく原因を切り分けると、多くはこの3つに当てはまります。
- 素材が速すぎて、口も耳も追いつかない
- 意味がわからないまま、音だけを追いかけている
- 一度に全部を完璧に真似ようとしている
この3つを一つずつ外していけば、シャドーイングはぐっとやさしくなります。
意味も音も、最初から100%わかる必要はありません。私も最初は「一文まるごと意味が取れないのに、真似しても仕方ないのでは」と思っていました。それでも同じ短い素材を繰り返していると、「ああ、そういう意味か」と急に腑に落ちる瞬間が来ます。意味は、後から少しずつついてきます。
だから、「自分にはシャドーイングは向いていない」と決めつけないでください。できないのは才能ではなく、負荷の問題です。次の章から、その負荷を下げる具体的な4つのステップを紹介します。
初心者向けのシャドーイングのやり方は4ステップです
初心者のシャドーイングは、次の4ステップで始めれば大丈夫です。コツは、いきなり音声だけで真似しようとせず、負荷を一段ずつ下げていくこと。
まずは短さが命です。1分の素材より、10〜20秒のフレーズを完璧に繰り返すほうが、初心者には何倍も効きます。内容は、自分の興味に近くて「だいたい意味がわかる」もので十分。意味が100%わからなくても構いません。繰り返すうちに輪郭が見えてきます。
いきなり耳だけで挑まず、スクリプト(文字)を見ながら音声を聞きます。大事なのは、「文字」と「実際に聞こえる音」は違うと気づくこと。英語は語尾の子音が弱くなったり、単語同士がつながったりします。私の耳には、would have が「ウダv」のように短くつながって聞こえたり、th がナ行に近い音に感じられたりしました。文字から想像する音とは、ずいぶん違うのです。文字を見るとつい全部の音を出したくなりますが、真似るのは「実際に話している音」です。
音と意味がつながったら、いよいよ声に出します。速さは気にせず、ゆっくりで一文ずつ。全部の音を律儀に発音しようとせず、消える音・つながる音はそのまま真似ます。口が回らなければ、その一文だけを何度でも繰り返してかまいません。
最後に、うまく言えた一文をスマホで録音してみてください。これが想像以上に効きます。自分では「できた」と思っていても、耳だけだと抜けている音に気づけないからです。録音して聞き直すと、消えるはずの音を自分がしっかり発音してしまっている、といったズレが見えてきます。最初は自分の声を聞くのは少し抵抗があるかもしれませんが、たいていはすぐに慣れていきます。
この4ステップなら、1回にかかる時間はほんの数分。「短く・ゆっくり・一文だけ」を守れば、初日から「できた」と思える一文がきっと残るはずです。
それでも口が回らないときの調整方法
4ステップを試しても「やっぱり口が回らない」「速くて追いつけない」と感じることはあります。そんなときは、根性で繰り返すのではなく、負荷をさらに一段下げるのが正解です。次の順番で調整してみてください。
- 速度を下げる:多くの音声アプリは再生速度を0.75倍などに落とせます。まずはスピードを落として、口が追いつく速さを探します。
- 文を半分にする:一文が長ければ、前半だけ・後半だけに区切って練習します。短くするほど、真似できる精度は上がります。
- 同じ素材を翌日も使う:新しい素材に進まず、昨日と同じフレーズをもう一度。繰り返すほど耳と口がなじみ、昨日は聞こえなかった音が聞こえてきます。
私自身、シャドテンでは同じ素材を4回ほど繰り返して提出しています。1回はだいたい15〜20分。最初はぎこちなくても、回を重ねるうちに意味がすんなり取れて、はじめは気づけなかった細かい音まで、だんだん聞き取れるようになってきました。同じ素材を繰り返すことは、決して遠回りではありません。できていない部分をそのままにして先へ進むより、「ここができていない」と気づいたうえで繰り返すほうが、音の変化にも敏感になっていきます。
それでも「今日はどうしてもダメだ」という日は、思い切って一度離れてしまうのも手です。少し時間を空けたり、翌日に回したりすると、不思議と、昨日あれほど回らなかった口がすんなり動くことがあります。煮詰まったら休む——これも立派な練習の一部です。
シャドーイングで期待できること・期待しすぎないこと
シャドーイングを続けても、短期間で急に英語がペラペラ話せるようになるわけではありません。ここを誤解すると、「効果がない」とがっかりしてやめてしまいがちです。
それでも、続けるなかで確かに変わるものはあります。私の実感では、まず「英語の音」への注意力が上がります。消える音・つながる音を自分の口で再現するうちに、リスニングでも同じ音を拾えるようになってきます。文字ではなく音でとらえる耳が、少しずつ育っていく感覚です。
もう一つは、口を動かす習慣がつくこと。実際に声に出す練習は、会話の前の準備運動のようなもの。いざ話す場面で、口が英語の形に慣れているだけでも、心のハードルはずいぶん下がります。
大切なのは、効果を焦らないこと。「今日は一文、細かい音まで真似できた」——その小さな達成を積み重ねた先に、リスニングや会話の変化はついてきます。
初心者が続けるための素材と道具の選び方
最後に、続けるための素材と道具選びのコツです。素材は「短く・興味に近く・繰り返せる」ものを選べば大丈夫。この3つを満たしていれば、無理なく毎日に組み込めます。
具体的には、好きな映画のワンシーン、関心のあるテーマのニュース、TOEICの教材、短い英会話フレーズなど。長い教材を一本やり切るより、お気に入りの短い素材を何度も繰り返すほうが、初心者には続きます。たとえば私も使っているabceed(エービーシード)には、TOEICの教材の音声が入っていて、教材によっては、文字を見ながら音に重ねて読む「オーバーラッピング」やシャドーイングの機能がついているものもあります。料金や使い方はabceedの料金と使い方の記事にまとめました。もっと広くアプリを比べたい方に向けては、シャドーイングアプリの選び方も別記事で紹介する予定です。
ただ、独学を続けるうちにぶつかりやすいのが、「自分では”できた”と思っている所が、実はできていない」という壁です。自分の耳だけでは、抜けている音や自己流の発音になかなか気づけません。誰かに聞いてもらう、あるいはプロに添削してもらうと、そのズレが一気に見えてきます。
私はその役割を、シャドテンという添削サービスに任せています。提出した音声にプロがフィードバックをくれるので、独学の”できたつもり”を修正できます。カタカナで「実際はこう聞こえる」と示された添削は、音変化に気づく大きな助けになりました。気になる方は添削ありのシャドーイングを2年続けた感想もどうぞ。
素材も道具も、完璧に選ぶ必要はありません。まずは手元にある短い音声一つから。今日の一文が、明日のあなたの耳をつくります。焦らず、ゆるく、でも止まらずに続けていきましょう。