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「オーバーラッピングをしていれば、そのうちシャドーイングもできるようになる」——そう思って練習を続けているのに、いざシャドーイングに挑戦すると、音がまったく追いつかない。そんなふうに戸惑った経験はありませんか。
実はオーバーラッピングとシャドーイングは、似ているようでいて負荷のかかり方がまったく違います。こべたろ自身、オーバーラッピングでは気づけなかった落とし穴に、シャドーイングに進んでから気づかされました。この記事では、二つの違いと、初心者がどちらから始めればよいかをお話しします。
オーバーラッピングとシャドーイングの違いは「文字を見るか」です
結論からいうと、オーバーラッピングとシャドーイングの一番の違いは、英文を見ながら練習するか、見ないで練習するかです。
オーバーラッピングは、スクリプト(英文)を見ながら、流れてくる音声にぴったり重ねて声を出す練習法です。文字という手がかりがあるぶん、初心者でも音声について行きやすいのが特徴です。
一方のシャドーイングは、英文を見ずに、聞こえてくる音だけを頼りに、わずかに遅れて真似して発音していきます。頼れる手がかりが「耳」だけになるので、負荷は一段階も二段階も上がります。
私こべたろも、abceedのTOEIC教材で最初にオーバーラッピングから練習を始めました。文字を追いながらであれば声を出せていた英文が、いざ文字を隠してシャドーイングに切り替えた瞬間、まったく声が出てこなくなったのを覚えています。「読める」と「聞き取って真似できる」は、まったく別の力なのだと実感した瞬間でした。
この違いを知っておくだけで、「シャドーイングができない=英語力がない」という誤解を避けられます。
初心者はオーバーラッピングから始めても大丈夫
シャドーイングでつまずいているなら、無理に続けずオーバーラッピングまで一段戻ってかまいません。負荷を下げるのは、理にかなった選択です。
シャドーイングは英語学習者の間で「効果が高い」と語られることが多く、そのぶん「シャドーイングができないと伸びない」と思い込みやすい練習法でもあります。ですが、耳だけを頼りに真似するシャドーイングは、そもそも負荷が高い練習です。そこでつまずくのは自然なことで、能力の差ではありません。
文字を見ながら声を出すオーバーラッピングなら、「聞き取れない」ことに気を取られず、発音やリズムを声に出す感覚そのものに集中できます。音声についていけない段階で無理にシャドーイングを続けるより、まずオーバーラッピングで「声を出しながら英文を追う」感覚に慣れるほうが、結果的に遠回りになりません。
私こべたろも、添削サービスのシャドテンに取り組む際、いきなりシャドーイングから入るのではなく、まず同じ素材をオーバーラッピングで一度声に出してから、シャドーイングに進むようにしています。文字で英文の形を確認してから耳だけで追うほうが、負荷が急に上がりすぎずに済むと感じています。
ただし、オーバーラッピングにも注意しておきたい落とし穴があります。こべたろが実際に使い分けている3つの場面から見ていきます。
二つを使い分ける3つの場面
オーバーラッピングとシャドーイングに優劣はなく、場面によって切り替えるものです。こべたろが実際に使い分けている3つの場面を紹介します。
速すぎて追えないとき
素材の速度が自分にとって速すぎると感じたら、迷わずオーバーラッピングに戻ります。文字という手がかりを使いながら声を出せば、「聞き取れない」という焦りを感じずに練習を続けられます。速さに追いつけないのは一時的なことで、こべたろの実感では練習を重ねるうちに少しずつ縮まっていくと感じています。
音変化を確かめたいとき
英文には、単語同士がつながって聞こえたり、音が変化したりする箇所があります。オーバーラッピングは、文字を見ながらその場所を目で確認できるので、「ここがつながって聞こえるのか」と発見しながら練習できます。シャドーイングだけでは聞き流してしまう変化も、文字と照らし合わせることで拾いやすくなります。
短い素材で口を慣らしたいとき
新しい素材に取り組む最初の一回は、いきなりシャドーイングではなく、オーバーラッピングで口を慣らすようにしています。文字を見ながら一度声に出しておくと、英文の形が頭に入り、そのあとのシャドーイングがやりやすくなると感じています。
この3つの場面を意識するだけで、「今日はどちらをやればいいか」に迷わなくなります。
こべたろが感じた負荷の違い
オーバーラッピングには、「文字に頼れる分だけ、耳がさぼりやすい」という注意点があります。これは実際にやってみて初めて気づきました。
オーバーラッピングは文字を見ながら声を出せるぶん、練習のハードルは低く感じます。ですが、いざ続けてみると、どうしても目が文字を追ってしまい、音の変化そのものよりも「次にどの単語が来るか」を文字で予測して声を出している自分に気づきました。音を聞いているようで、実際には文字に引っ張られていたわけです。
それがはっきりわかったのは、添削サービスのシャドテンで音声を送り、フィードバックをもらったときでした。自分では「ちゃんと聞き取れている」つもりだった箇所で、単語同士がつながって聞こえる部分や、音が抜け落ちて聞こえる部分を自分だけでは聞き逃していたと指摘され、正直かなり驚きました。文字を見ながらのオーバーラッピングだけを続けていたら、この聞き逃しにはずっと気づかなかったと思います(シャドテンを2年続けた口コミ)。
負荷を下げる練習と、耳そのものを鍛える練習は、目的が少し違います。この違いを意識しておくと、オーバーラッピングだけで満足せず、次のステップに進むタイミングを見極めやすくなります。
オーバーラッピングからシャドーイングへ進む4ステップ
オーバーラッピングからシャドーイングへ無理なく進むには、次の4ステップがおすすめです。一段ずつ負荷を上げていくのがコツです。
まずは10〜20秒ほどの短い素材を選び、英文を見ながら音声にぴったり声を重ねます。意味が完璧にわからなくても構いません。声を出すことに慣れるのが目的です。
同じ素材を数回繰り返したら、単語同士がつながって聞こえる箇所や、音が変化している箇所に印をつけます。文字を見ながらでよいので、「耳で聞こえる音」と「文字」のズレを意識するようにします。
形に慣れた同じ素材で、今度は文字を見ずにシャドーイングに挑戦します。一度オーバーラッピングをしているので、まったく初めての音より声を出しやすく感じることがあります。シャドーイングが難しい初心者向けの4ステップも参考にしてみてください。
自分の声を録音して聞き直す、あるいはシャドテンのような添削サービスを使うと、自分では気づけなかった聞き逃しを教えてもらえます。耳だけでは拾いきれない部分を知ることは、次の練習に役立ちます。
この4ステップを一つの素材で回してから次の素材に進むと、負荷を上げすぎずに練習を続けられます。
よくある質問:時間・効果・向いている人
決まった時間を保証することはできませんが、短い素材(10〜20秒)を数回繰り返すだけでも十分です。長時間続けることより、同じ素材を丁寧に繰り返すほうが、声を出す感覚が身につきやすいと感じています。無理のない範囲で、毎日続けやすい量から始めてください。
シャドーイングの速さについていけない方、英文の形を目で確認しながら練習したい方には向いています。一方で、すでにある程度耳だけで音を追えている方は、オーバーラッピングを飛ばしてシャドーイングに進んでも問題ありません。
オーバーラッピングは声を出す土台づくりとして役立ちますが、耳だけで音を追う力は、シャドーイングで直接練習できます。文字に頼れる練習だけを続けていると、この記事で触れたように、音の変化を聞き逃したまま気づかない場合があります。ある程度慣れてきたら、シャドーイングや第三者のフィードバックも取り入れることをおすすめします。
オーバーラッピングとシャドーイングは、負荷と目的に合わせて行き来すればよい二つの道具です。今日つまずいている場所に合わせて、無理なく練習を続けていきましょう。